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それから又……どれぐらいの月日が流れたのだろうか?
嫌な時間は、長く感じられるもので、……しかしもうこの頃には、オレは訓練生?のなかでも上手くなってきたほうだったと思う。
簡単に気で相手を倒すことができるようになっていた。
……どう説明すればいいのか分からない。現実世界でもあるにはあることなのだが、まさか自分がこんなことが出来るなんて思ってもみなかった。
バールは、オレへの態度を少しずつだが変えてきたように思う。
頭ごなしに怒ることも無く、オレも悪戯に食って掛かるようなことはなくなっていた。
「来週には、会議に出ていただこうかと考えています 」
「……会議? 」
「ええ。仕事を始めてもらうつもりです 」
その日の訓練が終わったあと、食事時にバールが切り出したのだった。
「仕事って? 」
「別に貴方にどうしろというわけではありません。ただ、黙って事の成り行きを見て頂ければ…… 」
「毎日毎日、人と戦う稽古をやらされて……今度は会議って……もう、訳わかんねえよ 」
オレはため息をついた。
「今の貴方なら、とりあえずの危険はないと判断したからです。これからもっと危険な目に遭うかもしれませんからね 」
「脅かすなよ。もう十分させてもらってるのにさ 」
バールは、苦笑した。
そうして、今までは、厳しかった部屋の出入りもある程度までは許されるようになってきていた。
しかし、身に着けるものはすべて、彼らから与えられるものだけだった。
寝るときは、相変らず裸の状態だ。全て取られてしまう。
自分が与えられた部屋には、備え付けのベッドと小さな台には飲み水が入ったピッチャーとコップのみ。
そして、自分の家であったなら、物置化していた机と椅子がが一組。
分厚い辞書のような本が数冊。もちろん漫画じゃねえ。この世界のしきたりとか歴史とかの……それが、何日かに取り替えられる。
これが……唯一与えられた刺激というか、娯楽というか……。
テレビやケータイやゲームで育ってきたオレには、本当につまらないものだったが、無いよりはマシだった。
それは、訓練のあとの休憩時間のことだった。
いつもなら一人でぼんやりと過ごすことが多い俺だったが、今日は珍しく組み手をやった相手が話しかけてきた。
「きみ、凄いよね。どこの地区から選抜されたんだい? 」
「えっ? 」
オレの驚いた顔に相手もびっくりした様子だった。
「あ、聞いちゃマズかったのかな…… 」
「……君は? 」
オレは、恐る恐る聞いてみた。
「へへへ……これでも俺、○○地区ではトップだったんだけれどなぁ。やっぱり、世間は広いよな 」
「…… 」
聞きなれない場所から選抜で集まってきたという彼ら……。
「あ……オレは、そういうのじゃないんだ 」
今度は、相手が驚いた様子だった。
「えっ?君は試験を受けなかったのかい? 」
「…… 」
オレは返事に困ってしまった。
正直に話そうにも、自分でもどう説明すればいいのか分からない状態である。
「まぁ、いいや。とにかく頑張ろうぜ。上手く使ってもらえりゃ、左団扇で暮らせるんだからさ 」
「……あのさ……ここで戦争かなんか、おっぱじめるのか? 」
オレは、小声で聞いてみた。……こんなこと、聞いてはいけないような気もするのだが……気になって仕方がない。
「何馬鹿なこと言ってんだよ。俺らの仕事は此処の警備じゃねえか 」
此処の警備だけに、選抜で人を集めているというのか……?
オレにはまだ、話が見えなかった。
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